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 久々に「観てきた映画」の投稿、というか投稿自体が久しぶりですね。生きてます。

 さて、ロッキーの旧作がロードショーされているってご存知ない方も多いと思いますが、やっているんですよ。タイトル通りロッキーⅣのディレクターズカット版です。ロッキーⅣと言えばロッキーシリーズの中でも最もヒットし、かつ最もディスられた作品なんですよね。なんでも新型コロナによるロックダウンのため新作の撮影が出来なくなり、その空いた時間で再編集を始めたんだとか。

 ただ、せっかく再編集したこの作品、アメリカで昨年秋に1日限りで公開したきりお蔵入りになっていました。それが日本ではこの夏全国ロードショーされた訳ですよ!劇場数は限定ですがしっかり横浜でも横須賀でもやってくれています!リングに上がるロッキーを劇場で見る機会って恐らくもうないように思うのでしっかり行ってきましたよ。

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 ディレクターズカットっていうと泣く泣くカットしたシーンを監督が詰め込み過ぎてやたらと長い作品になってしまうことが多いんですよね。このロッキーⅣも今回追加されたシーンは42分にもおよぶのですが、作品自体の長さは3分しか長くなっていないと。

 ロッキーⅣが初めて公開されたのは1985年。オリジナルは良くも悪くもあの時代のいささか軽い雰囲気が感じられたものでして、今回のディレクターズカットは本筋には直接関係のないそれらのシーンをバッサリカットしていました。その分、こんなシーンも撮影していたんだ、と驚くようなシーンを新たに採用し、スタローン曰くドラマの部分に焦点を当てた、という新たな作品に生まれ変わています。そりゃ作品の半分近くを差し替えているのでイメージも変わりますよね。

 ただし、ストーリーは変わるはずもなく、40年近く前の作品なんでネタバレは気にせずストーリーのおさらいしてみます。

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朝はやっと涼しくなってきてハリーも嬉しそう

 ソ連のアマチュアボクサーでオリンピックのメダリストであるイワン・ドラゴが渡米しチャンピオンであるロッキー・バルボアに挑戦します。ところがロッキーが対戦する意思を固める前にロッキーのかつてのライバルであり、今は親友であるアポロ・クリードがドラゴの対戦相手に名乗りを上げます。ロッキーはアポロのセコンドに着きラスベガスでエキシビションマッチが行われますが、アポロはなすすべなく2ラウンドでKOされ、ドラゴの規格外のパンチ力により死亡してしまいます。アポロの死を目の当たりにしたロッキーは、妻であるエイドリアンの反対を押し切りドラゴと対戦するためソ連に渡ります。過酷なソ連の自然のなかでトレーニングを積んだロッキーはドラゴの強打に耐え抜き、試合開始直後はロッキーに罵声を浴びせていたソ連の観客たちも、次第にロッキーに声援を送るようになり、フルラウンドの末ドラゴをKOする、とこう言うお話ですね。


 2018年に公開されたロッキーシリーズのスピンオフであるクリードの2作目では、アポロの息子、アドニスがロッキーの指導の元世界チャンピオンとなり、なんとドラゴの息子が挑戦してくる、と言うお話。ボクの邪推では、スタローンはこのクリード2を作る中でドラゴを人間としてもっと表現しておけば良かった、と思ったのではないでしょうかね?そこで起こったコロナによるロックダウン。降って湧いたように時間が出来たので、再編集に挑んだ、そんな感じではないでしょうか。


 と言うのも今作ではオリジナルでは感情のないサイボーグのような描き方をされていたドラゴが、今作ではファイターとしての主張をするし、戦うことへの感情の動きなども見せ、人間臭くなっています。クリード2でドラゴはロッキーに負けた後、妻には捨てられ、政府からは見放されどん底に落ち、復讐の一念で息子を育てた、と言っていましたが、見事にそこにつながる映画として生まれ変わったように感じました。クリード2ってシリアスというかかなり重い内容なんですが、今回のROKY VS DORAGOはオリジナルの軽さが消えすんなりとクリード2につながる作品となっています。

 ところで、スタローンがこの編集を行ったのはロシアのウクライナ侵攻の前でしたが、ロッキーの試合後のセリフが見事に今の状況にマッチします。「今ここで2人の男が殺し合いをしたが、2,000万人が殺し合うよりましだ。試合を通して俺は変わり、あなたたちも変わった。誰でも変われるんだ!」このセリフの後、オリジナルでは貴賓席で観戦していたゴルバチョフ書記長(RIP)が感動したように立ち上がり拍手を送るのですが、今作では不愉快だ!って感じで立ち去るシーンに差し替えられています。ソ連(ロシア)は変われなかったのね、それが今の情勢につながっているのね、って読めてしまいます。

 ちなみにオリジナルが公開された1985年は米ソ冷戦の真っただ中。ロッキーⅣがディスられてしまった理由は、妙な軽さもさることながら、アメリカがソ連を倒す国威発揚プロパガンダ映画だって思われた事にあるんですよね。でも、上にも書きましたが、ロッキーは2,000万人が戦うよりもお互いが変わることが大事だ、って言ってるんですよ。プロパガンダどころか反戦映画ですよね。

 この夏、シンウルトラマン、トップガンなど観ましたが(我ながら懐古趣味的映画ばかりですが)ボクにとってはロッキーが一番でしたねー!

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